幻想と合成生物学
合成生物学という言葉、耳慣れたものではないが、これから少しずつ
聴く言葉になるかもしれない。
これは「ありえたかもしれない」生物を設計することで生命科学の
理解を深めるというアイディアである。
そもそも人間って結構「もしこうだったら」と考えること結構あると思う。
歴史のifとか、そうでなくても個人レベルでも結構あるよね。
あーこのとき2番を選んでたら合格できたのに、とか。
生物学という意味合いではないけれど17世紀か18世紀に合成生物をいろいろ
考えた人たちがいるらしい。
…こうやって考えられた生物は現在に伝わっていない。
本来の生命が生きる環境のみならず、想像上の生物ってのもどうやら
環境適応って言うものがあるようである。
そういう意味では日本の怪獣とかはすごい想像上の生命力を持っていることに
なるかもしれない。
さておき、生命科学が進歩してきたことにより、生物がどういう感じで
構成されているかだんだんわかってきたので、
「じゃあifってのを試せるな」
という発想が生まれてきた。
ifの内容としては、たとえば
「DNAを構成する塩基がATGC以外にあったら」
「逆にDNAを構成する塩基が2種類しかなかったら」
「生命を構成するアミノ酸が20種類以上あったら」
などという根源的なものも含まれる。
で、実際のところどうなのかというと、たとえばDNAを構成する塩基が2種類しかない
場合、エラーの発生率が現在より増えてしまうことになりそうである。
多様な遺伝子を持つ生物には不利であると言えよう。
アミノ酸に関しては20アミノ酸(プロリンは厳密にはアミノ酸じゃないけど…)
以外にあってもいいようであるが、そうなると逆に転写翻訳の際にややこしい
ことになるという面もある。
40億年にも及ぶ生命の歴史は淘汰の連続なんだろうからそりゃそうもなるか…
このような合成生物が実際の環境に適応できるか、これは実際のところわからない。
仮に作れたとしても、自然環境に適応できないかもしれないな。
ホムンクルスみてぇだ。
また、本来生態系に存在しない生物を作り出すことの危険性も考えられる。
そんなもんが自然環境に放たれたら地球、いや宇宙がどうなるかわからない。
適応できなくていなくなるだけならいいが…
IT利用して仮想的に合成生命作れたら面白いかもしれないね。
誰も傷つかないと思うのだが…(もっとも十分な仮想系が設計できたら
という前提が存在するのでこれもまた困った話だ)
もちろん現在の機器じゃ不十分で量子コンピュータとか必要になってくるだろうし
作業量も馬鹿にならないだろうし…
大体それが現実反映してるといえるのかどうか。
そーいや以前確かジーンダイバーだったかと思うけど、NHK教育でやってた
アニメがそんな感じだったよな。
偽総研的幻獣辞典もある種のそれか。
どっちかっていうとATGCの塩基と20アミノ酸だけでもまだ試されてない部分も
たくさんあると思うけど、それを試すのもコンピュータ(含む脳という名の
バイオコンピュータ)だけにしておきたいな。
人間がいじるまでもなく想像以上の生物がこれからも生まれてくるだろうし。
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